RCEP協定発効後、日本では20ものFTA活用が可能となり、複数の協定を締結する相手国とは、いずれの協定利用が最善か見極めることが求められます。CPTPPでは、ブルネイが発効手続きを完了し全11カ国で効力が生じ、英国の加盟が承認され、中国、台湾、エクアドル、コスタリカ等の国々が新規加盟申請を行っています。
発効済み“メガFTA”には、CPTPPに加え日EU協定、RCEPがあり、いずれも「域内累積」を活用して、サプライチェーンの効率化・強靭化を図ることが可能です。海外工場において、多国間協定を利用することで、完成品のみならず部品や原材料の移送においても、FTA特恵関税の活用による原価低減が期待できます。一方、多国間協定の利用企業には、社内体制の整備が喫緊の課題です。貿易部門による対応だけでは不十分で、全社を挙げ、更に主要取引先を含めた協力体制を構築することが重要です。取引産品の原産性立証を客観的根拠資料で的確に行い、輸入国税関による事後確認(検認:Verification)への準備・対応を確実に行うことが肝要です。